第2講の「ツアー」から一歩奥へ。各国の代表地区・格付け・看板スタイルまで踏み込み、ラベルの地名から味を読み解けるようになります。
産地名は、ただの地名ではなく品質と個性の階層を表します。範囲が狭く特定されるほど、テロワールが凝縮し、一般に格も上がる——この感覚が全産地に共通する読み筋です。
↑ 上にいくほど範囲が狭く、個性が際立つ
原産地呼称制度(AOC など) 各国はこの階層を法律で守っています。フランス=AOC/AOP、イタリア=DOC・DOCG、スペイン=DO・DOCa、ドイツ=Prädikatswein、アメリカ=AVA。名前は違えど「どこまで土地を特定しているか」を示す点は同じです。
すべての産地の「文法」がここにあります。主要5地方をやや深めに。
カベルネとメルローのブレンド赤の聖地。大きな川を境に、左岸と右岸でスタイルがくっきり分かれます。
砂利質土壌。カベルネ主体でタンニン強く、長期熟成型。メドック/グラーヴ。1855年の格付け(5大シャトー)で有名。
粘土質土壌。メルロー主体でまろやか、早くから楽しめる。サンテミリオン/ポムロール。
ピノ・ノワール(赤)とシャルドネ(白)の単一品種。畑ごとの差を突き詰める世界で、前述のピラミッドが最も厳密に効きます。北のコート・ド・ニュイは力強い赤、南のコート・ド・ボーヌは偉大な白の産地。
冷涼地の高い酸が泡の骨格に。ブラン・ド・ブラン=シャルドネのみ、ブラン・ド・ノワール=黒ぶどうのみ。複数年を混ぜる「NV」が基本で、当たり年だけの「ヴィンテージ」は別格。
北はシラー単一で優美(コート・ロティ等)、南はグルナッシュ主体のブレンドで豊潤(シャトーヌフ・デュ・パプ)。
SyrahGrenacheロワールは爽快なソーヴィニヨン・ブラン(サンセール)。アルザスは香り高い白を品種名で表記する珍しい仏地方。
Sauv. BlancRiesling全20州でワインを造る、土着品種の宝庫。まずは三大産地を。
ネッビオーロから生まれるバローロ/バルバレスコ。タンニン強く長熟、「イタリアの王」。甘い微発泡モスカートも。
Nebbioloサンジョヴェーゼのキャンティ/ブルネッロ。仏品種を使う革新派「スーパータスカン」もここ発。
Sangiovese気軽な泡プロセッコ、陰干しぶどうの濃厚赤アマローネ、爽やかな白ソアーヴェ。生産量国内最大級。
Gleraテンプラニーリョを軸に、樽熟成のまろやかさが持ち味。熟成期間で格付けするのが特徴です。
テンプラニーリョ赤の二大銘醸地。リオハは優雅、リベラは力強い傾向。
Tempranillo瓶内二次発酵の本格泡カバと、酒精強化のシェリー(辛口〜甘口)。食前酒の名手。
Cavaドイツはリースリングの聖地(モーゼル/ラインガウ)。収穫時のぶどうの糖度(熟度)で格付けする独特の制度を持ちます。糖度が高いほど上位ですが、必ずしも「甘口」ではない点に注意。
ポルトガル ドウロ川流域の酒精強化ワインポートが世界的名声。第2講の「酒精強化」を思い出すと位置づけがつかめます。
歴史は浅くても品質は世界水準。ラベルは品種名中心で分かりやすく、温暖な気候から豊かな果実味が生まれます。
ナパ=凝縮カベルネ、ソノマ=多彩、冷涼なオレゴン=繊細なピノ・ノワール。
CabernetPinot Noirバロッサ=濃厚シラーズ、マーガレット・リバー=上質カベルネ&シャルドネ、冷涼ヤラ=ピノ。
Shirazマールボロの鮮烈ソーヴィニヨン・ブランで一躍有名に。南のセントラル・オタゴは世界的ピノ。
Sauv. Blancチリ=果実豊かなカベルネ&カルメネール、好コスパ。アルゼンチン=高地メンドーサのマルベック。
Malbec南アフリカ 旧世界の端正さと新世界の果実味を併せ持つ注目株。シュナン・ブラン(地元名スティーン)と独自品種ピノタージュが看板。
第1講で触れた日本ワインを、産地の視点で。冷涼で繊細な味わいは出汁や醤油の料理と好相性です。
日本ワイン発祥地。白の甲州、赤のマスカット・ベーリーAの二大土着品種の本拠。
甲州高標高・冷涼で欧州系品種が好成績。近年もっとも勢いのある産地のひとつ。
Merlot冷涼気候を生かしたピノ・ノワールやドイツ系白品種。今後の伸びしろが大きい。
Pinot Noirこれで世界地図はだいぶ埋まりました。次は気になった一つの地区を徹底的に(例:ブルゴーニュ完全編)か、自宅ブラインドテイスティング実践編へ進めます。